2010年8月24日


C★NOVELS
対馬での日韓の激闘の裏では、ネットを舞台にした情報戦が展開していた。前線でなくては知り得ない情報を流す謎の人物「ケナリ」とは? 特命を受け、「聞いたこともない」作戦に司馬が挑む!
カバー:安田忠幸
刊行日:2010/3/25
新書判/240ページ/定価945円(本体900円)
ISBN978-4-12-501105-9 C0293
冬季オリンピックでの韓国の活躍は凄かったですよね。日本は、万遍なく各分野に入賞者が出て、次のオリンピックが楽しみだけど、少なくとも、あの場所では、ゴールドの数で韓国に圧倒された。
これって、家電分野でもそうですよね。技術では、日本の方が圧倒しているけれど、でもシェアとなると韓国が勝つ分野が出来てきた。
それは何が原因かと言えば、小国なりの選択と集中です。オリンピックでは、日本のように選手が好きな分野で出場するのではなく、得意分野にリソースを集中して、かつての共産圏並みの国費を投じて確実にメダルを取る。家電にしても、パネルの大量生産でコストを下げることで、世界市場を席巻した。
何処かで見た光景だと思いませんか? かつての日米の経済競争です。
私は最近、面白い命題に凝っています。「日本が成功したのは、江戸というインフラを基盤に、都市化に成功したからだ。地方から若者を収奪して東京圏をひたすら拡大させたのは正しい選択だった」、という話を聞いたからです。
韓国のGDP規模は、僅かに東京を上回る程度です。韓国は韓国で、ソウルへの人口集中問題を抱えていますが、平均寿命は日本より低く、まだ日本ほどの老齢化社会でもない。少子化はあちらでも深刻ですが。
そうすると、南北に長く、インフラの整備や維持に税金がかかって少子高齢化社会も支えなければならない日本があって、それに対して韓国と言うのは、言ってみれば、日本という国から、それらのレガシーコストを切り捨てた東京圏みたいに考えられないでしょうか?
もちろん私自身、地方出身の出稼ぎの身の上ですから、地方をレガシーコストと書くことには抵抗があります。今の日本の繁栄があるのは、間違いなく、地方の若者が、この半世紀、都会という見知らぬ土地で頑張ったからです。
でも今、中国との問答無用の低価格競争に巻き込まれているように、もっとも効率よく都市化され、選択と集中を素早く行っている韓国とも競争を強いられている。これは今そこにある、一つの厳然な現実です。
こちらは動きもロートルな巨大戦艦。あちらは、イージス駆逐艦みたいなものでしょうか。果たしてこの戦いにWin-Winな結末があって......、いやそもそもわれわれが生き残れるのだろうか、と不安になります。
〔大石英司/2010年3月〕