2012年2月16日

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書籍詳細

南海燃ゆ4

C★NOVELS

南海燃ゆ4
老兵たちの凱歌

三木原慧一 著

要塞群を撃破し、日向以下の旧式戦艦部隊がマニラ湾深奥に突入した。立ちはだかる米新鋭戦艦ノース・カロライナ級。果たして死中に活を求める激闘の帰趨は!? フィリピン攻防、ついに決着!!

カバー:上田信
刊行日:2011/12/20
新書判/248ページ/定価945円(本体900円)
ISBN978-4-12-501180-6 C0293


なんかいもゆ4
ろうへいたちのがいか


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コメント

 情報収集衛星を載せたH2Aロケットの打ち上げが成功したその夜、軍事ライターの友人から電話がかかってきた。
「若い軍事マニアの人たちと話す機会があったが、彼らが、旧ソ連の技術、兵器を頭から馬鹿にしていた」と言うのだ。
 二人そろって電話口で頭を抱えた。結局、「1945年から1989年まで続いた冷戦時代を知らぬ若い人たちは、旧ソ連の恐さを実感できないのだろう」という話になったが......旧ソ連(以後、ソ連)は恐ろしい敵国だった。
 例えば、日本の61式戦車は1961年採用だが、同時期のソ連はT55を装備していた。第二次大戦中の戦車、T34/85に勝つことを想定して造られた61式戦車がT55に勝てるか、正直微妙だろう。このため、陸上自衛隊は一時期、60式自走106mm無反動砲(1960年採用)を積極活用する戦術を考えていたらしい。60式は、成形炸薬弾の力でT55を撃破できるためだ。
 1976年、日本に亡命したベレンコ中尉が乗っていたミグ25は、電子器機に真空管を使っていた。この点を取り上げ、ミグ25をバカにする人もいるが、搭載レーダーの妨害は極めて困難であり、上昇力の凄まじさと相まって、アメリカの新鋭機、XB70高々度高速爆撃機を撃墜可能な性能を秘めていた。
 潜水艦では、1970年代に登場したアルファ型の建造が目を引く。この潜水艦は船体がチタン合金製だが、加工が難しいチタンを扱うには高度な冶金技術が必要だ。
 ここで時代を遡るが、原子爆弾も(スパイ情報があったとはいえ)アメリカの成功からわずか4年後の1949年、実験に成功。水素爆弾もアメリカと前後する形で、1955年、RDS37の爆発に成功。核戦略と関連が深い有人宇宙飛行についても、ソ連は世界初の有人宇宙飛行を1961年4月に成功させた。アメリカの成功は同年5月だった。
 結局、西側が兵器の質で優位に立ったのは、空では、1970年代に配備されたF15とペトリオット以後、陸では、1979年配備のレオパルトⅡ、1985年配備のM1A1戦車以後だろう。海に関しては、戦後の合衆国海軍は無敗と言えるが、ソ連の本質は陸軍国だ。万単位の戦車を揃え、進撃するソ連大戦車軍団は、欧州にとってまさに恐怖の象徴だった。
 極東はどうか? と言えば、欧州方面の攻勢を補う意味でソ連が軍を動かす可能性があり、その一環として自衛隊創設時の1950年代から、北海道への侵攻シナリオが存在した。興味深い点は、当時の社会党もこれを認め「だから、ソ連に北海道が攻撃されぬよう、アメリカと絶縁すべき」という主張をしたことだ。
 普通なら「自国を侵略する敵に断固とした反撃を加え、これを退けるのだ!」となるはずだが、非武装中立論を唱える人物が党首なのが社会党だ。その内情は推して知るべしだろう。
 それはさておき、冷戦最盛期の1980年代に4万発を超える核兵器を配備した国を、どうして「たいした敵ではない」などと言えるのか。ソ連は手強い敵だった。これと全面戦争にならず、1989年のマルタ会談を以てアメリカが冷戦に勝利した事は素晴らしい事実だ。だから、アメリカに平伏して感謝を......とは、さすがに言わないが、冷戦当時のソ連が強大な軍事力を持つ大国であった事は間違いない。
 侮るなかれ。軽んじるなかれ。「汝の敵を知れ」とは、ロシアの諺だが、確かにそれは必要な事なのだろう。

〔三木原慧一/2011年12月〕

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