2010年8月24日

C★NOVELS大賞

第6回 C★NOVELS大賞 最終選考レポート

第6回
最終選考レポート

女帝 : 書籍編集部長。
編長 : 構成が気になるミスターきっちり。C★NOVELSの編集長です。
軍曹 : ファンタジアの鬼軍曹。コーヒー片手に、ズバリ言います。
番長 : 影の支配者。なんでも読む乱読派。
殿下 : 元バックパッカー。男気と骨のある奴どんと来い!
広報 : ゲーム好きコレクター、主食は駄菓子。外し目に惹かれるなー。
特攻 : キャラ命。今、恋愛小説がキてます。もちろんBLもアリっ!
庭番 : 左党で砂糖もいけるクチ。萌えより燃え、の少年漫画脳。
兄貴 : 元オタク新聞記者。コミケでは漫画を描いてる窓際族。

編長 第6回C★NOVELS大賞にたくさんのご応募ありがとうございました。今回の応募総数は245本。一次選考で63本に絞られ、二次選考で9本が選ばれたのはサイトでもお伝えしてきたとおりです。
特攻 そして今年もいよいよ最終選考。以下、C★NOVELS編集部員による座談会形式で、全作品を合評しながら選考を進めていきます!
庭番 まずは、樋口史子『アルテミシア』。幼なじみとの許されぬ一夜を過ごした〈女神の息子〉に、6都市の盟主を害した疑いが掛けられる。仮死状態の盟主を救うため〈蘇りの水〉を求めに行く――という物語。
編長 〈女神の息子〉の成長物語だな。ストーリーラインとしてはベタだが、そこをてらいなくやっているところがこの作品の持ち味だろう。世界観に独創性もあるし、王国ものとしても良くできてる。
広報 盟主を選び出す競技会――古代オリンピアの競技会を参考にしたのでしょう――はいきいきと書けていて、6都市の王たちの争いがどうなるのか気になった。だけど肝心の謎解き部分が効果的じゃないし、今ひとつ腑に落ちない。
番長 たしかに物語のキーになる仇敵の正体をラストまで引っぱるわりに、謎が解けて良かったという気持ちにならない。これは出てくるキャラクター全体にいえることだけど、造形が通り一遍で感情移入できるところまでいかないのが原因だと思う。
軍曹 文章をもうひと磨きするだけでも違うんじゃないかな? 描写が漫然としていて、何が起きたのかわからない場面がある。世界の道具立て――王や巫女、女神の息子などで世界の雰囲気を上手く作っている分、肝心の物語に起伏が乏しく感じられたり、キャラクターにもう一歩踏み込めていないところが残念だね。
庭番 では、矢伏務『双月の煌めく国の記』へ。修行中の若き修道士は、密偵と疑われ捕縛される。誤解が解け歓待されていた最中、隣国からの侵攻が。村を守ろうと奮闘するが......。
殿下 設定は緻密だし、丁寧に物語を進めているのに好感が持てた。じいちゃんの語りでわかる神話もいいし。ただ、凝っているあまり国名や宗教観が複雑すぎて混乱したのも事実だな。
特攻 政治的・軍事的なやりとりは破綻なく造られていますよね。でも伏線も含めて、バレバレなのがもったいない。せっかくの持ち味なんだから、もっと謎や物語の動きをダイナミックに造れれば、受賞の可能性も出てくるかと思うのですが。
編長 旅していく先に対して目的とか「何か」はあるけど、実は事件が起きてないんだよな。ただただ歩いてるだけって言うか。
兄貴 この人もキャラクターがなぁ......ヒロインの口調がありがちなラノベ風で、物語世界とマッチしてないのが辛かった。キャラクター造形って大事だと思うんだよ。この雑さではプロとしてはまだまだ。
広報 最初は他国の侵攻から街を守るっていう小さなところから始まって、最後は世界を救う話にスライドしていくんだよね。もちろん大きな話を目指すのは悪いことじゃないんだけど、それにしては最初の「語り」と話の規模が合わないように感じられて......。この人は最初に、もう少し物語の規模をきちんと想定しておいた方がいいと思うなぁ。
庭番 次は小林遊『冬小路家の終焉』。平安朝を舞台に冬小路家の当主となった男が成り上がっていく物語です。
女帝 最初は文章といい、世界の設定といい装飾過剰に思えたのだけど、だんだん気にならなくなってきたわ。特に最後まで悪を貫く主人公が新鮮だった。なんというか「成長の哀しさ」を描いているのが良かった。どの陰謀もあまりに簡単に成功してしまうのがお手軽すぎるけど......これもある種のキャラクター小説としてありかなと感じたのだけれど、どうかしら。
編長 そうは言うけど、ノベルスで書く話なのか? という疑問はやっぱり拭いきれないだろう。キャラクター小説というには弱いし、世界観や物語に強力な引きがあるかといったら、そうでもない。本人も「捏造アリ」と断り書きしていたけど、時代考証があまりにお粗末だし。
兄貴 でも個人的には9本の中で一番のめり込んだ。作品に奇妙な熱があって、一気に読まされた。台詞のやりとりや心理的緊張感が最終選考に残った作品の中では随一だった。......才能があるんだと思うな。
特攻 本当の悪人が主人公っていうのは目新しかったけど、せっかくなら、もっと上手く書けばいいのにと思わされる部分がありましたよ。眼前に、さまざまな選択肢がある中、普通の男だった主人公が、いつ、どこからこっちに来ちゃったの? という瞬間が描き切れていない......それこそがこの話の「ドラマ」となるべき部分だと思うのに。
軍曹 ファンタジー作品で、ある土地・ある時代をベースに自分なりの解釈を加えることはよくあるし、それ自体を否定するつもりはない。だけど、なんちゃってでも「らしさ」がなければ世界は揺らいでしまう。平安時代なのに戦国時代風の忍者が出てきたりすると苦しい。「らしさ」は本物の中に少しの嘘を混ぜるから成り立つもの。あれもこれもというのでは、無理があるでしょう。
広報 静かな魅力のある作品だったけど、裏を返せば派手さがない。爽快感を期待したのに......。忍びに成長する少年を前面に押し出せばファンタジア的になったのかなぁ。ただ主人公から最後まで離れていかない友人との関係性にはぐっとくるものがありましたよ!
番長 目の付け所はいいものの、いかんせんノベルス向きではないのでは? ということでしょうか。ただ編集部の人間の中には、強烈に惹かれる者もいたので、自分の適性も考えて、ぜひ書き続けてほしいと思います。
庭番 では岡野めぐみ『農学王女』です。とある秘密を抱え、農学者としてひっそりと生きていきたいと希望している王女が、異母兄のお后候補として選出されてしまい否応なく表舞台に立つことになるという物語。
広報 この作品、リーダビリティでは一番だったなぁ! 大好き! 完全に吹っ切れたばかばかしさ。読み手を間違いなく楽しませてくれる、コミカルなどたばた喜劇に徹したところがもろ好みでした。
女帝 内容的には言いたいことがいっぱいあるけど、タイトルは今回の最終選考に残った中で一番良かったわね。他はタイトルを言われても、内容が何だか思い出せない。
番長 突拍子もない設定で、それを呑み込めるか否かで評価が変わるのでしょうか。自分はかなり好きな感じだったけど。自分の秘密も国の歴史も陰謀も主人公が語るという作品の構造には問題があるかな。あまりにも都合良く感じられてしまう。もうひとり語り手キャラがいても良かったと思うなぁ。
庭番 みんな割と評価がわかれますね。途中で出てきたロリコンのおっさんが強引に話を運んでいくのは良い味でてましたよ。そこは押すな~。
兄貴 実は農学があまり本筋と関係なかったのは残念だな。ヘンタイ的なキャラクターはおもしろいけど、それで勝負するんだったらぶっ飛び方が足りない。主人公の抱える秘密が、あまり生きていないのも気になった。ラストも消化不良だったし。
殿下 たしかに。妙にスケールが小さく感じたな。謎という謎がなかったし、善悪がはっきりしすぎていたからかな。
特攻 個人的には苦手でしたね。評価が二分されるということは、惹きつける何かは持っているということなのでしょうが......。なにはともあれ、さらにはっちゃけた作品で次回も応募してほしいですね。
庭番 次は、天音璃京『そらとぶ手紙』。主たる通信手段が手紙という世界で、ひょんなことから読めない手紙を拾ってしまった少年。その謎を探るため旅にでるという物語。
編長 いやぁ、これは個人的にはすごく嵌った。好感度がすごく高い。GPS、飛行船など......物語の道具立てがとにかく、つぼ! 携帯電話やメールのアンチテーゼとして風船郵便が使われているんだろうけど、それも良かった。作品が持つ独特のテンポと、オタク的こだわりが楽しい。
広報 冒頭・結末はワクワクするし、たしかにEメール感覚の文通風船とか、微笑ましかった!!
兄貴 お話としてはスケール感、キャラクターも含めて可愛い。主人公の少年と少女が空を飛んでいる時につぶやく台詞は、心に残ったなぁ。
庭番 ......可愛かったけど、ラストのオチにがっかりしませんでしたか? 空を飛ぶのは手紙だけ、という制限が付いていたからいい世界観なのであって、○○も運べるのでは台無しじゃないかと。
軍曹 それで言うと、この世界には民族に由来する差別意識があって、主人公の少年と少女は、それぞれ差別する側と差別される側なんだよね。その設定自体をどうこう言うつもりはないんだけど、差別的な意識を持っていなかった少年がそれを意識する過程、外の世界を知った少女がそれを受け入れる過程、騎士の屈託、キャラクターに纏わるエピソードが、微妙に中途半端なのが気になる。
女帝 手紙以外の部分の設定が甘すぎるし、文章もたどたどしいのよね。あと、作品全体が手紙で、その中でさらに手紙が交わされている――という構成になっているんだけど、せっかくの形式を生かし切れていないのが気になったわ。今読んでいるのは、手紙パートなのか、そうでないのか......とっさにわからないのよ。
殿下 心意気やよし、だが受賞までには、さらなる洗練を要するということか。構成や設定に凝るのはいいことだけど、〈読者〉がその作品を読んだ時に、ちゃんとわかるように伝えられているか、そういう伝える視点を持つことが必要だな。
庭番 では続いて、石井颯砂『華胥之國幻灯』。砂獣が出没する「死の世界」――その先に砂原の国が存在していた。王子派と王女派に別れ、今にも内戦が始まらんとしているユジリークでは、味方につけようと人を派遣するという物語。
特攻 砂漠のまっただ中で、他国との交易もなく、文化的に成熟した国なんて存在しうるのか......という根源的な疑問はあるものの、世界観の大きさと構成へのチャレンジ意欲を買いたいな。
女帝 今回、最終選考に残った中では、一番筋立てが凝っているわね。文章は読みにくいんだけど、続きが知りたいと思わせるようにできていると思ったわ。
殿下 ええっ!? 自分は冒頭からのカットバック語りが苦手だったな。語りわけをしているんだけど、その正体が後半になってから出てくるキャラクターっていうのは、構成として失敗だし、禁じ手に近い......というか、禁じ手そのものだろ。
番長 それと通じるけど、読者が感情移入すべき人物が、前半にいないのが惜しいよね。親子二世代に亘る確執が小説の中心にあって、謎が謎を呼ぶ構成になっているんだけど、それがすべて後半で一気にバタバタ片づくのよ。しかも後半に初めて出てきたキャラクターとかを中心にして。ミステリじゃないから、アンフェアだとは言わないけれど、さすがにもう少し前半で伏線を入れないと、あまりに唐突すぎると思う。
広報 まとめると、この人も読者を置いてけぼりにしてしまっているということでしょうか。せっかく煌めくものがあっても、それを〈小説〉として読者に届けられなければ、思いつき以上にはならないということですね。あと気になったのは、タイトル。読み終わっても、なんでこうなったのかわからなかったですね。
庭番 次の尾白未果『霧の彼方、君が呼べば』は、山から下りてくる狼を殺す役目〈狼番〉として派遣された青年が、前任者であった友の死の真相を探ろうとする。その地には狼を崇める家があって......という物語。
番長 う~ん。うまいの一言ですね。文章力もケチのつけようがない。お話としてもよく練られていて、言うことがない。最終選考に残った中で、一番小説的に成功している作品でしょうね。唯一、そして一番の問題点は、あまりに地味なこと。どうしても「C★NOVELSファンタジア」というレーベルに入れて、上手くいくイメージが抱けないんだよね。
軍曹 その気持ち、わかる。何とかならないかと思っていろいろ考えて――もう一歩キャラクターに寄せるとか、場面を派手にするとか......、でも良く書けているだけに、どういう方向で手を入れてもらえばレーベルとの馴染みがよくなるのか、提案が思いつかなかったんだよ。それに方向性を切り替えてもらうような形での直しとなると、本人の指向性とも大きくかかわってきてしまうし。
庭番 作品単体としてみると、神話や推理も抜きにして、何より心理描写がいい! 亡くなった友人のキャラクターがよくできている。彼の死の謎が知りたいという主人公の気持ちに、すぐ同調できました。
広報 動物担当としては、物語のキーになっている狂犬病の病理もよく書けていて、ちゃんと調べてるなーと好感を持ったな。もちろんそれだけじゃなくて、胸が詰まって泣いた唯一の作品でもありましたよ。狼娘が可愛いのなんの!!
女帝 感動に水を差すつもりはないんだけれど、どうしても「里見八犬伝」の縮小版みたいに思えてしまうのよね。
編長 それぞれの要素が良くまとまっているが、まとまっているだけにもう少しスケール感が欲しいということか。あとは作品としての立ち位置が中途半端なんだよな。ノベルスという市場で作家としてやっていきたいと思うのであれば、もっとケレン味を加えて伝奇物に寄せていくか、いっそ時代物っぽく寄せていって、ノベルスではないフィールドを視野に入れるか。どちらかに振らないと、なかなか生き残っていくのは難しいんじゃないかな。
兄貴 この作品にはかなり好感を持った。ノベルスに向くか向かないかでいったら、向かないという意見もわかる。でも、新人ばなれした筆力があるのは間違いがない。ぜひ今後も書き続けて、なんらかの形でデビューを目指してほしいな。
庭番 次に、片倉弓弦『翼の末裔』。「竜使い」の少女は幼馴染に嫁いだが「竜使いに向いていない」と言われてしまう。夫ほどの腕前で飛べないことを思い悩むところに、竜による荷運びの依頼が舞い込むというお話。
兄貴 流行なのか、今回の応募作にはさしたる事件が起こらない作品が多かった中、ちゃんと起伏のあるストーリーを構築してきたことを評価したい。
特攻 お話としては、他愛もないと言えば、他愛もない話なんですけど、国家の存亡も善悪も関係ないところがいいですね。あとは絵の浮かぶ話だったなと思います。童話みたいなイメージで。
庭番 スケールが小さいながらも、ちゃんとカタルシスが積み重ねられていて、次々とページを繰りたくなったなぁ。個人的には、異なる二つの文化が接触し、互いに歩み寄ろうとする......というテーマもすごく好きでした。
広報 細かい設定が生きてるよね。これまた動物担当としては、特に竜の群れのあり方とか、におい、生態の描写が良かった! なかなか嗅覚にこだわる人っていないんだけど、動物は、そこが肝だと思うわけです。
軍曹 スケール感と関係していると思うんだけど、せっかく文明の衝突もテーマのひとつとして持ってきているのに、その書き方が下手なのはもったいないと思ったな。「谷」は竜の存在もあってちゃんと人が住んでいる場所として感じられたんだけど、「街」がどうしてもチープに読めてしまった。
殿下 あと気になったのはオチ。彼女が一番こだわっていた夫からの台詞「女は飛べない」のオチがこれかい!という肩すかし感はあったよ。もちろんあまりにフェミニズム全開でも読者を選んでしまうけど、真ん中に据えたテーマなんだから、もっとちゃんとしたカタルシスを用意して欲しかった。 ただ夫婦の和解に至る過程なんかには妙なリアリティを感じたよ。
編長 いろいろもったいないところはあるにしても、素直に主人公たちを応援したい気持ちになる作品だよな。竜たちが飛んでいるシーンの爽快感や主人公たちの葛藤などもちゃんと作られているし――これだけ読ませる物語なんだから世に問うてみたい。
庭番 最後に、吾火裕子『吟遊翅ファティオータ』。海上を駆ける水棲馬の騎士は、相棒である帝国第一皇子から蔑まれていた。水上集落がトゲウオに襲われ全滅した夜、その彼がトゲウオの幼生を拾うという物語です。
広報 9本の中で一番を決めるならコレです! パワフルだし、ビジュアルを思い起こさせる力があるよ。海上を駆ける馬、トゲウオ、石などのモチーフが、ちゃんと機能して世界を魅力的に見せてたもん。
兄貴 たしかに一番設定がかっちりしていて、安定感があったね。海を駆ける馬のアイディアもいいし、世界にすごく広がりがあって、お話自体もダイナミックに動いて読みごたえ充分だった。――それにしても、よくこの枚数でまとめたものだ。
番長 いやいや、たぶんなんとか収めたって感じなのでしょうよ(笑)。ラストがかなり舌たらずになってましたし。今回は物語の魅力とうまく絡んで、「続きが読みたい!」という気持ちにつながったので、不幸中の幸いと言って言えないこともないですが、普通に考えれば、構成が間違ってますね。
女帝 私は逆に、構成が新鮮に感じた。ラストはみんないろいろ書きたくなるところだと思うのだけれど、よくぞここで筆を置いた、という気持ちにさせられたわ。
庭番 構成については賛否両論あるみたいだけど、キャラクターがそれを補ってあまりあるほどに生き生きしてましたよね。今回、最終選考に残った作品の中で、一番キャラクターに華があったと思います。
特攻 個人的にすごいツボに嵌ったのは、主人公の少年と皇子の組み合わせ! でこぼこコンビぶりが良かったし、上官ふたり組の掛け合いもおもしろくて笑っちゃいました。キャラクターって、オリジナルな設定を作ることだけに腐心しがちなんだけど、その人ひとりでは成り立たなくて、周りのキャラクターとの関係性があって、はじめて成立する部分があるんだなと改めて思わされましたよ。
軍曹 しいていえば、主人公が皇子に完全に喰われちゃってるのがどうなの? とか、敬語のキャラクターに関しては会話のかき分けがされていないとか、誤字が多いとか、いろいろ難はありますが、とにかくスピード感と躍動感があって一気に読まされるところはある。
編長 第2回CN大賞最終選考以来、応募し続けてくれていたんだけど、なかなか最終選考までは上がってこなかった。今回、吾火さんはこういうキャラクター中心の話も書けるんだというのが新鮮な驚きだったな。「D-FIRE!」の変な銃が忘れられなくて、この人の設定がちょこちょこツボに嵌る身からすると、気になっていたキャラクター性・物語性を持たせる部分について、ここまでうまくなったのだから、ちゃんと担当をつけて刊行したいと思うな。
殿下 上官のうち一人がとんでもないところで放り出されてたりとか、ラストには賛否両論ある部分などは担当と話し合ってもらうことにして、満場一致で大賞に推したいと思います。
庭番 というわけで、討議の結果、大賞は『吟遊翅ファティオータ』、特別賞が『翼の末裔』に決定いたしました! では最後に、毎回恒例の「大賞選考を振り返って」。
兄貴 今回初めて選考に参加させてもらいましたが、候補作のレベルの高さに感心しました。ただひと言――ファンタジーの「お約束」に頼らない人物像と世界観を作って!
番長 世界観を作り込んでいく時に、オリジナリティだけを気にして、他の部分との矛盾がでていたりはしませんか? 世界観だけではありませんが、こっちでこう言っているのに、すぐあとでは全然ちがうことを言っているなんてことが、よくあります。
女帝 キャラクターを作る際に、外見の描写や特異な設定だけを気にして、そのキャラクターだったらどういう行動を取るのか、周囲のキャラクターとのやりとりはどういう風になるのか、突き詰めて考えていますか? このキャラクターはどう考えても、こうは反応しないだろうということを書いている作品も多いです。
軍曹 書きたい物語に合った構成というのを考えることも必要です。どこから話を進めるのがいいのか、時系列通りに書いた方がいいのか、カットバックで過去の話を入れるといいのか、キャラクターに喋らせた方がいいのか、書き始めはさまざまな選択肢があると思います。その中で、ぜひ作品を一番魅力的にみせる構成は何なのかを考えてみてください。
広報 作品は描写の積み重ねによってできてます。どんな短い一文でも作品を構成する要素なのですから、おろそかにせず、頭を振り絞って作品に取り組んでほしいな。
編長 中でも一番必要なものは「熱」――作品に対する愛、キャラクターに対する愛、どうしてもこの作品で楽しんでもらいたいという読者に対する愛――いろいろな形があると思いますが、それが籠められているかどうかが最後の決め手になります。今後とも力作を期待しています。
殿下 次回から一次選考通過者(二次選考候補作)にも短い選評をお送りするようにします。
全員 第7回C★NOVELS大賞へも、ご応募よろしくお願いいたします!
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