2008年8月15日

C★NOVELS大賞

第2回 C★NOVELS大賞 最終選考レポート

第2回
最終選考レポート

最終選考メンバー
生神 書籍編集部長。中公のキアヌ・リーブス 40代♂
編長 ノベルス編集長 40代♂
軍曹 ファンタジア創刊の祖 40代♀
女史 翻訳小説も担当の文学派 30代♀
殿下 ばりばりのガンダム世代 30代♂
番長 なんでも読む乱読派 30代♀
広報 おもちゃ大好き 30代♀
お嬢 恋愛小説も読みます 20代♀
特攻 キャラ命。BLも読みます 20代♀
少年 少女漫画も読みます 30代♂

編長今回もご応募、本当にありがとうございます。総数225本でした! 若い賞にどれだけ......と思ったけど、去年より増えていたな。
特攻まずは選考手順をご説明しておきましょう。応募いただいた225本を第一次選考で66本に、さらに、二次選考で8本に。一次・二次は、面白いのか、小説として魅力があるかを基準として選びました。そして、最終選考は編集部全員(上記10名)、一堂に会しての会議で決定しました。
編長各論に移るよ。では、まずは『Unpreasant Party』。これ「虫」の設定はいいと思う。
殿下そうそう、あと、文章の書き慣れた感じは良かったね。でも、ほかの設定や登場人物がありがち。
広報元ネタがばればれなんですよね。おいしいところをつまんであるから、そのセンスは良いけど「元ネタ」が超えられていないですよ。あの主人公は××を想像したし、あのセリフは**......(と、固有名詞が続く)。
番長ラストでコミカルになるのも良いかな、と思ったけど、言われてみたら○○のテイスト?
女史あの転調は唐突では? 私はついていけなかった。
少年少年漫画ノリですよね。それと主人公の傲慢さが、僕は苦手でした。
編長設定が物語の中で生かし切れていないってことじゃないの? それで主人公の無敵っぷりが嘘っぽく見えるんだよ。
少年それもありますけど、セリフに日常会話で使わないような単語が多すぎませんか?
生神著者がこだわっているほどの魅力はないんだよね。
お嬢でも一気読みできる力はありますよね。青春小説みたいな純粋な感じも良かったですよ。
特攻男の子向けのなかでは頭一つ抜けていましたよ。若いんだし、まだまだ書き続けて欲しいです。というわけで、次に行きますか。『ナロドニア家のイルシオが夜明けを待たずに死んだら』です。
軍曹これ、本人も断っているけど、シェイクスピアの『タイタス・アンドロニカス』の翻案なんだよね。......あまりにもそのまま。
特攻本歌どりは良いけど、時代をずらす、主人公を変えるなど手法は他にもあったと思いますね......。
軍曹前半の言葉選び、神経を使って欲しい。
女史語尾の「っ」の多用はぜひやめたほうがよいと思います。
生神ストーリーにぐいぐい引き込んでいく感じがないんだよな。
番長読後感も悪かったですよね......。
編長本歌取りで応募するなら、元を凌駕する部分がないと。どうしても元と比べてしまうから、生半可な気持ちで挑戦しないことかな。
軍曹シェイクスピアとはりあおうとした心意気は買うけどね。
特攻では次は『PHENIX18』へ行きますか。
軍曹これ、ファンタジアで出す作品ではないですね。
編長かといって、シミュレーションです、と謳って出すには設定が甘過ぎるなあ。
殿下戦闘機のスペックは勉強していると思ったけど、最強の戦闘機が全然強くなくって魅力がないよ。それに陸上部隊の設定は、著者に興味が無いんだと感じさせるくらい稚拙。それと......(と、シミュレーション物についてのうんちくが続くが省略)。
お嬢私、戦闘ものやメカに全く興味がないんですけど、クルー同士のエピソードはうまいと思うし、面白く読めましたよ。
少年キャラ、文章、読後感、良かったと思いますけど。
生神うーん、俺には感情移入できる登場人物いなかったけどな。
編長エピソードで面白いところは結構あるんだよ。
広報本筋ではなくて、インターミッションというか、小ネタが光る感じ?
番長シーンシーンでおっと思わせたけど、なんか、長篇としての強い感じがしなかったんですよね。
特攻もう少しキャラクター・設定などにアクが欲しいですよね。でも、この人、今回3作応募してきているんですよ。たくさん書けるということはそれは才能だと思うので、またがんばって欲しいと思います。――で、次行きましょう。『D.FIRE!』です。
生神設定はいいと思うけど、肝心の銃のキャラが上手くいってないのでは。
女史主人公に対して弱すぎ。
番長私、この銃のへなちょこ感は好きでしたけどね。あと、脇役にけっこういい味出しているのがいましたよね。
編長作品自体に勢いはあったよな。意志を持つ弾丸なんていう設定も楽しめた。
殿下実は物語世界が矮小じゃない? この設定ならもっと大きくできると思うのに。
女史着想の妙、の域を出ることができていないという印象。冒頭のシーンには映像的な魅力があるのに、その後はアイディア倒れ? 悪い意味で漫画的で、臨場感に乏しい感じでした。
軍曹書き方が荒っぽいのが難点でしょう。いずれにせよ現在のうちのノベルス向きではない気がします。読者が女性か男性なのか、見えないですね。
お嬢私、最初から話に乗りきれなかったです。
広報主人公の独白とか、生理的に苦手な感じでした。好みの問題かな? とも思ったのですが。
特攻主人公の気持ちに同感できないので、他が良くても読後感がすっきりしないんですよ。恋愛小説としての面がもう少し上手く演出できていれば良かったのに。
番長うーん、私以外の女子はこの主人公苦手か......。次は完全男の子向けかな? 『二進法の月、機械仕掛けの猫』。オタクアイテムの盛り込み方や、ネタの選び方は良いかと思ったんですけど。
殿下ロボットアニメ作品の寄せ集め。
軍曹ああ......@@のファンかな? とは思ったな。
広報私はむしろ、**かと思いましたけど。
(この後、アニメ作品・監督名を挙げての激論(?)が続き、本筋と離れるので割愛)

広報......で、リアルの主人公が「人殺し」の手応えを感じて錯乱するあたりからラストまで、もっと感動的になりそうなものなのに、うまく生かせてないですよね。
番長ツボを押さえた設定だと思うのにねえ。
お嬢ゲーム内の仮想空間と、現実がひとつになっていく......ってプロット自体は面白いと思うんですよ。でも、ゲームに興味がない私にも訴えてくるようなものが欲しかった。
女史閉じている、というのでしょうか? 読ませる努力というかサービス精神というかがちょっと足りない感じ。
特攻天才といわれているキャラクターが、どうもそう読み取れないんですよね。
編長さて、問題作の――『この世の果て
生神とにかくページを捲らせる力がある。捨てがたい作品だよ。
番長スピード感、熱さ、良いですよね。私、一次からずっと推していました。最初はくどいと思った文章も読んでいくと癖になってくるんですよ。頭の中を文章がぐるぐる回ってくる感じ。
少年最初強烈だったんで、ついていけないかと思ったけど、意外な爽快感があって、読後感も良かったですよ。
女史先へ先へと読ませる力は抜群でした。日本語の乱れや字詰めの読みにくさといったマイナス要素を凌駕するドライブ感のある作品。
編長父親の兄弟たちの掛け合いで語られる"家訓"はツボに嵌った。翻訳小説を読んでる感じだったな。
特攻でも海外小説の同じようなテーマ、小説を超えていないと思いませんか?
広報それと、冒頭のエロ描写はなくてもいいなあ。主人公の本質にある「寂しさ」の発露であって、それがラストへの伏線だとわかるには、時間もかかるし、あまりにも露骨すぎて「ただの淫乱女」にしか読めず。読者が物語に入り込むのを妨げているだけだと思う......そこを乗り切ったら、あとは一気だっただけに。
お嬢もう少し早めに主人公のトラウマをはっきり出しておけば、ニンフォマニアも気にならずに読めたかもしれないですね。
編長露悪的すぎるというか汚しすぎなきらいはあるな。でも、やっぱり一番の欠点は、これ、C★NOVELSなのか? ということかな。
軍曹なぜC★NOVELS大賞に応募したのかわからないような、わかるような......。ノベルス版で出さないって手もあるかもしれないけど、それにしたってどうやって売っていくかといった問題は残るな。
特攻やっぱり、C★NOVELSというレーベル名を冠した賞なのだから、うちのレーベルにふさわしいのが一番ですよ。
番長うーん、残念だけどね......。力は感じたので、今後も書きつづけてほしいと思います。では、次は特攻一押しの『ライカンスロープ
特攻とにかくキャラクタの設定と関係性が好みでしたよ! 私一押しです。
生神設定がありがちじゃないかな。それはそれでもいいんだけどそれを突き抜ける魅力を感じなかった。
特攻よくある設定、といいますけど、それを嫌味なく書ける人は少ないと思うんですね。
番長私が気になったのは設定の甘さかな。どうしてベルリンなのに、登場人物名が全部英語圏のものなのかとか。一つ気になると、先に進まなくて。
女史そうそう、人名を含め固有名詞に対する書き手のある種の「鈍感さ」が感じられた。舞台設定に意味を持たせるにせよ持たせないにせよ、書き手は固有名詞に対して目配りを怠るべきでないと思う。ラストの謎解きも唐突?
お嬢私は、あの謎、面白く読みましたよ。半人半獣(妖?)ものは応募作にも世の中にもたくさんあるけれど、新しく世に出る物語の主役として魅力的なキャラクターが描かれていたのが良かったです。マニアでなくてもすっと理解できるキャラでしたし。
少年最後の謎解きは弱いとは感じました。でも、ハードボイルド調の雰囲気は好きです。
広報ハードボイルドな主人公視点と、人間とオカルトとの共存のしかたが私も好き。レトロな印象も本人の持ち味でしょうね。
編長とにかくキャラが良いよな。
殿下物語の中の設定には混乱があるけど、今までの幻獣ものよりは、彼らが共済のために探偵事務所を作っているのが面白かった。今後に期待だな。
軍曹一番の強みはシリーズ化が可能そうなところ。しかし、ノベルスとしては話もキャラも薄い。これから厚みを付けていって欲しい。
特攻確かに、勉強不足と設定への配慮が不足しているという事実は否めないですよ。でも、シリーズ化は期待できるし、C★NOVELSに入った場合の読者像が明確に見えるのが買いじゃないですか。
軍曹特攻が責任を持って担当するって事で、どうだろう。たしかに粗さもあるけれど、若さでもあるともいえるでしょう。大賞は難しいから、特別賞受賞というところで。――で、全員が票を投じた『夜語り』が大賞かな?
生神応募作全体の中で、一番<小説>らしさを感じさせる作品だった。なにより雰囲気がある。
殿下一番面白かったし、安心して読めた。
編長世界をきっちり作り上げていた。緻密な構成と文章力もずばぬけていたね。
少年ストーリーとは別に、もの悲しい「雰囲気」が伝わってくるのも良かったと思います。
軍曹話が入り組んでいるので、途中で「これ誰だっけ?」とかの中断がないわけではないけど、おもしろかった。
女史構成は複雑ですよね。でも、それが読む側の意欲を削ぐというよりは、むしろ読み返してみたいという気持にさせる出来映えだったと思いますよ。
番長読み返すと、こんな前に伏線が? って発見できたりするんですよね。
お嬢小説には描かれないことまで想像させるようなひろがりがありましたよね。民話や寓話のような小話をつなぎあわせて壮大な物語に組み上げていく手腕に巧みさを感じました。
女史テーマとして「物語る」ことを選んで、丁寧に取り組む書き手の姿勢も良かったですよ。品格を感じさせる作品だと思います。
お嬢そうそう、個人の体験や癒しの物語ではなく、なぜ「物語る」のか、ということを考えさせてくれるでしょう。そこが魅力でしたよ。あの独特の世界も面白いですよね。三つの軌道にある島々が、それぞれ国家として海に浮かんでいるという......。
番長あっさり書かれているけど、じつは特異な状況なんですよね。軌道に浮島が? しかも、一定の速度で回転?
軍曹海も死の海ということは、じつは......
(以下、既存作品を挙げて世界設定を推理する話が続くので削除)

広報完成度あり、凝った構成のお得感ありですね。あえて欠点を挙げれば、冒頭部分、話にすんなりと入りにくいところでしょうか? 頭の中で整理されてからは面白く読めたですけど。
特攻今回の中で一番の出来というのは間違いないですよね。強いていえばキャラクターが弱いかな。
番長特攻はキャラ命だからね......。私は設定フェチだからOKだったよ。
編長では、全会一致で大賞は『夜語り』と。今年も大賞、特別賞の二作品受賞になったな。
軍曹まったくタイプの違う二人だけど、どちらも個性派。7月の刊行をどうぞお楽しみに!
 
編長では去年に引き続き、応募作全体について気がついたことをまとめよう。去年の繰り返しになるけど、この『C★NOVELS大賞』という名称にもあるように、この賞はノベルスと呼ばれる新書サイズのエンタテインメント小説を募集しているものです。読者が何を求めているのか、よくよく考えて書くことを心がけてほしい!
番長最終的に、C★NOVELSで刊行することを目的にしているわけだから、どんなに力はあっても、「うちとは相性が悪い」「よそで出版したほうが良い」が理由で受賞に結びつかない、ということもあり得るわけです。
広報あとやっぱり、映画とか、アニメとか、ゲームとか、どっかで見た話だぞ? っていうのが多いのは気になりました。
殿下もろネタばれっていうのが多かったんだよな。安易すぎ。読んだり見たりした設定だけを都合よく使ってたり。
編長もちろん、好きな作品への憧れは執筆の大きなモチベーションだと思うよ。要は、志は高く。「盗むなら魂をこそ盗め」「挑むなら超えていけ」の気構えで臨んで欲しい! 自分の創造した物語が誰かの心を動かす――という歓びを目指して、引き続き、第3回へのご応募もお待ちしています!

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